序文・自営業
堀口尚次
個人事業主は自ら独立した事業を行う自然人〈法人と対比〉を指す。日本の法律では消費税法基本通達1-1-1において自己の計算において独立し、事業を行う者、同第2条1項3号では事業を行う個人と定義され、慣習的には個人事業者または自営業者とも称される。
株式会社等の法人事業を設立せず、サラリーマンのように雇用される者としてでもなく、独立した事業として継続的な下請〈業務契約〉や納入、代理店などの雇用ではない契約〈請負や委任等〉で他者の事業に従属する。事業主一人、家族、あるいは少数従業員の小規模経営が一般的だが、大規模な企業体を経営することも出来ないわけではない。サラリーマンでいう不当解雇に当たる解雇を遂行されやすく不安定な一方で、ハーバード大学医学部の調査によると、比較的健康な個人事業主が多いのは、仕事内容が柔軟であるためだという。
個人が事業所得を得るための事業を行い、開業届出書を提出すれば誰でも個人事業主となる。例えば、仕入れた商品を継続的・反復的にオークションサイトで売る場合や、ブログ等のアファリエイト〈成功報酬型広告〉等を利用した収入などがあればよい。なお雑所得に該当する副業の場合は開業届出書の対象外となる。
法人経営者である芸能人が「個人事務所」を有するために一般的には株式会社の経営者と間違ってイメージされやすいが、個人事業主となるハードルは低く、あえて具体的な事業や年商〈売上高〉、所得〈利益、課税所得〉を詐称するために自営業として職業詐称に使われることが多い。
会社経営者でもサラリーマンでも公務員でもアルバイトでもない個人事業主には一般的には福利厚生を用意されず、確定申告や取引先との詐欺や訴訟等のリスクが高い一方、法令の制限がない限りはあらゆる事業を行えるため、収益〈年収〉はすべて自身に帰属する。
例えば銀行業のように法人でなければ認められない事業であり、日本相撲協会の協会員〈日本相撲協会定款第49条〉である大相撲の力士は福利厚生等の面ではむしろ労働者に近く、各種士業や医師やスポーツ選手や芸能人などの場合、個人事業主とは呼称されない。
