序文・食用バナナはクローン
堀口尚次
バナナは、バショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称または、その果実のこと。東南アジア原産で、いくつかの原種から育種された多年性植物。熱帯~亜熱帯の地域で栽培されるトロピカルフルーツ。種によっては熟すまでは毒を持つ。日本では古くは芭蕉と呼ばれ、甘蕉(かんしょう)、実芭蕉(みばしょう)という別称もある。 松尾芭蕉が俳名を「芭蕉」にしたのは門人の李下から芭蕉の株を贈られ、大いに茂ったことにちなむ。
食用果実として非常に重要で、2009年の全世界での年間生産量は生食用バナナが9581万トン、料理用バナナが3581万トンで、総計では1億3262万トンにのぼる。アジアやラテンアメリカの熱帯域で大規模に栽培されているほか、東アフリカや中央アフリカでは主食として小規模ながら広く栽培が行われている。花を料理に使う地域もある。葉は皿代わりにしたり、包んで蒸すための材料にしたりするほか、服飾品づくりや屋根葺きにも用いられる。世界最大のバナナ生産国であるインドには葉を扱う専門店もある。葉の繊維を主に利用するイトバショウは同属異種である。
「バナナの木」と言われるように、高さ数メートルになるが、実際には草本であり、その意味では園芸学上果物ではなく野菜に分類される。その高く伸びた茎のような部分は偽茎〈仮茎〉と呼ばれ、実際には、葉(よう)鞘(しょう)が幾重にも重なりあっているものであり、いわばタマネギの球根を引き延ばしたようなものである。茎は地下にあって短く横に這う。茎のような先端からは、長楕円形の葉〈葉身〉が大きく伸びる。
現在流通しているバナナは、人工的に創り出された「交雑種」であり、一般的には望ましい性質を選抜した増殖可能な植物の集合である「栽培品種」と言われている。大抵は不稔性〈花が咲いても種ができない〉であり、種子または生存能力のある花粉を付けない。
キャベンディッシュは、バナナの栽培品種。世界で生産されるバナナの47%を占めており、また国際取引に用いられるバナナの大半を占めている。日本国内ではほぼこれ1種類のみが常食範囲内である。人為的に栽培され有性生殖ではなく栄養生殖によって繁殖するため、実質的に遺伝子型が同一のクローンとなり、病害抵抗性が徐々に低下する。
