ホリショウのあれこれ文筆庫

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第371話 サービス残業の闇

序文・闇シリーズ①

                               堀口尚次

 サービス残業とは、使用者(雇用主)が、労働者が行う時間外労働に対し本来支払うべき賃金が支払われない時間外労働の俗称。

 使用者がサービス残業を強要すれば、違法行為でありまずありえない。問題なのは、労働者が使用者の許可なく残業した場合に発生する。また、使用者が許可していない労働者の残業を黙認しているところにある。

 本来であれば、残業の手続きは2つあり、一つは使用者が労働者に命令して行うものと、もう一つは労働者が使用者に申請して許可を得た場合に行うものだ。ただ私が職場で目の当たりにしてきたケースは、残業申請をしないで労働を続ける労働者がいかに多いかということだ。その背景には、労働者側の「残業になったのは、自分の仕事能力が低いことに起因している」というパターンや、ひどいものでは使用者側からの「残業になったのは、貴方の責任だから申請は許可しない」というもので、それでサービス残業をせざるを得ない状況を作り出すという卑怯な姑息な手段にでる使用者を沢山見てきた。

 労働者が、就労時間内で仕事が完結できるようにマネージメントするのが使用者の仕事でありながら、労働者の責任にすり替えてサービス残業を黙認(半強制的)するなど言語道断である。

 これらの背景には、使用者側は、労働者の賃金待遇(評価)を握っているというところに起因していると思う。更に、使用者には残業の概念がなく(残業手当が発生しない役職が大半)常に労働者の残業時間に相当する時間を就労している、という自負みたいなものが働いている様に感じざるを得ない。

 サービス残業自己啓発の様にとらえて実施している労働者もいたが、これを使用者が黙認している時点でまったくマネージメント出来ていないと思わざるを得ない。私が見て来た現場では、サービス残業どころか、サービス出勤なんて例も山ほどあった。ただし、サービス残業やサービス出勤の労働者は、使用者にとっては助かるので、評価がいいこともある。

 単なる残業自体の削減が会社目標になり、「ノー残業Day」なんて日が設定されたりしたが、その為にサービス残業が増しているという本末転倒なことが平気で起きているのが現状だった。ノー残業Dayの日は、会社を追い出されるので、自宅での仕事が極端に増えたのだ。

 なんでもそうだが、何か起こるととりあえず目の前の体裁だけ整えようとするからこんな事が起きてしまう。物事の本質を見極めていないからだ。残業削減は大賛成だが、サービス残業の撲滅が最優先課題だ。しかしこの問題は根が深い。雑草もそうだが、根から枯らさない限り、葉や茎は枯れないのだ。