ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

歴史

第730話 守護大名と守護代そして戦国大名

序文・正に下剋上 堀口尚次 守護大名は、軍事・警察権能だけでなく、経済的権能をも獲得し、一国内に領域的・一円的な支配を強化していった室町時代の守護を表す日本史上の概念。守護大名による領国支配の体制を守護領国制という。15世紀後期 - 16世紀初頭ご…

第728話 平岩親吉〈七之助〉の苦悩

序文・家康の側近から信康の側近へ 堀口尚次 平岩親吉(ちかよし)〈七之助〉は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将・大名。徳川氏の家臣。上野国厩橋藩〈前橋藩〉、尾張国犬山藩主。官位は従五位下・主計頭。徳川十六神将の一人に数えられる。『三河後…

第725話 神功皇后社の由緒

序文・初の女帝 堀口尚次 筆者の地元・愛知県知多市に、「神功(じんぐう)皇后社」という小さな神社があり、「皇后の井」という井戸跡が残る。立札の「知多の歴史 八幡の語り草より」によると、 『神功皇后社は、人皇第十四代仲哀天皇の皇后で第十五代応神天…

第720話 謀反の大賀弥四郎と山田八蔵

序文・謀反の謀反 堀口尚次 大賀(おおが)弥四郎は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武士。徳川家康の嫡男・松平信康の家臣だったが、謀反を計画したために処刑された。正しくは大岡氏〈大岡弥四郎〉であるとする見解が有力である。 『三河物語』は弥四郎…

第719話 忠義の士・夏目広次

序文・家康の身代わり 堀口尚次 夏目吉信(よしのぶ)は、戦国時代の武将。松平氏〈徳川氏〉の譜代家臣。通称は次郎左衛門。一次史料上で確認できる実名は広次である。 永禄4年、三河長沢城攻めで軍功を上げ、永禄5年に板倉重定を攻めた三州八幡合戦〈八幡村城…

第716話 磔になった鳥居強右衛門

序文・信長が認めた忠義心 堀口尚次 鳥居強右衛門(すねえもん)は、戦国時代の日本の足軽。奥平家の家臣。名は勝商(かつあき)。 鳥居強右衛門が歴史の表舞台に登場するのは、天正3年の長篠の戦いの時だけで、それまでの人生についてはほとんど知られていない…

第710話 海賊大名・九鬼嘉隆

序文・水軍武将 堀口尚次 九鬼嘉隆(くきよしたか)は、日本の戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。九鬼水軍を率いた水軍武将であり、九鬼氏の11代当主。 志摩の国衆の一員として身を起こし、織田信長や豊臣秀吉のお抱え水軍として活躍し、志摩国を…

第707話 篠島に残る徳川家康伝説

序文・家康と居眠り和尚 堀口尚次 正法(しょうほう)禅寺は、愛知県知多郡南知多町大字篠島字神戸219番地にある曹洞宗の寺院。中興は仙鱗等膳(せんりんとうぜん)和尚。仙鱗等膳が駿河国の駿府で修行していた際、今川義元の人質だった徳川家康を闇に紛れて連れ…

第704話 日本武尊と源義朝にまつわる伝説

序文・馬が動かなくなったトドメキ橋 堀口尚次 船津(ふなつ)神社は、愛知県東海市名和町に鎮座する神社である。この地は、第12代景行(けいこう)天皇の御子・日本武尊(ヤマトタケルノミコト)ご東征の時、伊勢より海を渡られて、ここに御船をおつけになり、な…

第702話 初めてイギリスに帰化した日本人・山本音吉

序文・遺灰の帰郷 堀口尚次 山本音吉は、文政2年 - 慶応3年は、江戸時代の水主(すいしゅ)・漂流民。後にはジョン・マシュー・オトソンと名乗った。ロンドンに初めて上陸した日本人とされ、マカオで現存する最古とされる日本語訳の聖書の編纂に関係し、モリソ…

第701話 徳川家康の知多半島での足どり伝説

序文・伝説の域を出ないが歴史ロマン 堀口尚次 天正10年5月21日、駿河拝領の礼のため、信長の招きに応じて降伏した穴山信君とともに居城・安土城を訪れ、大接待を、受けた。この際、秀吉より援軍要請があった信長は自ら出陣することを決めたが、家康もこれに…

第700話 日本一の兵・真田幸村

序文・真田十勇士 堀口尚次 真田信繁(さなだのぶしげ)は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将、大名。真田昌行の次男。通称は左衛門佐で、輩行名(はいこうめい)は源二郎〈源次郎〉。真田幸村(ゆきむら)の名で広く知られている。 豊臣方の武将として…

第699話 シャレを言った?織田信長

序文・信長と竹千代の因縁 堀口尚次 那古野(なごや)城〈名古屋城の前身〉の織田信秀〈信長の父〉が岡崎城を攻めようとした時、岡崎城主・松平広忠〈徳川家康の父〉は駿府の今川義元に援軍を要請した。義元は見返りに人質を要求したので、6歳の竹千代〈後の徳…

第698話 於萬の方こと「長勝院」

序文・家康の側室?妾? 堀口尚次 長勝院(ちょうしょういん)〈天文17年 - 元和5年〉は、戦国時代から江戸時代初期にかけての女性。江戸幕府の初代将軍・徳川家康の側室。於萬(おまん)の方、小督局とも。結城秀康〈徳川家康の次男〉の生母。 天文17年、三河国…

第693話 桶狭間の戦いの落武者伝説②

序文・阿久比町に残る岡戸姓 堀口尚次 筆者の地元・愛知県知多半島東浦町の縣(あがた)神社の立札に以下の説明書きがある。『社宝の氏神面である「翁の面」は、永禄3年桶狭間の合戦後、福住村の住人となった今川方の家臣岡戸祢宜左衛門(ねぎざえもん)が所有し…

第692話 桶狭間の戦いの落武者伝説①

序文・知多半島北部に残る伝説 堀口尚次 筆者の地元愛知県東海市に鎮座する熊野神社のHPに以下の説明があった。『本郷熊野神社は、社格元村社で東海市加木屋町宮ノ脇43番地に鎮座し、地元住民の郷土意識と深く結ばれた氏神さま、産土さまとして親しまれ、…

第691話 青海入道の逸話

序文・池田輝政の家来 堀口尚次 真田十勇士は、戦国時代末期から江戸時代初期にかけての武将で、講談で親しまれた真田幸村〈史実では真田信繁〉に仕えたとされる10人の家臣からなるキャラクターである。あくまで伝承上の架空の人物であるが、歴史的な由来を…

第688話 信長を困らせた花井播磨守信忠の末路

序文・今川と織田の狭間で 堀口尚次 筆者の地元愛知県知多市にある丘で、地元の人が天王山と呼び、山頂には津島神社が祀られている場所がある。そこは、かつて室町時代から戦国時代にかけて、花井氏の堀之内城〈寺本城〉がそびえていた。 堀之内城は別名「寺…

第685話 河豚計画の頓挫

序文・美味だが猛毒を持つ 堀口尚次 河豚(ふぐ)計画とは、昭和5年代に日本で進められた、ユダヤ難民の移住計画である。昭和9年に鮎川儀介〈実業家・政治家〉が提唱した計画に始まるとされ、昭和13年の五相(ごしょう)会議で政府の方針として定まった。実務面…

第684話 家康が発祥の「生せんべい」

序文・知多半島は家康伝説の宝庫 堀口尚次 総本家田中屋のホームページに「生せんべい物語」として以下の記述がありました。 『永禄三年、桶狭間の戦いで今川義元に加勢した徳川家康は織田信長勢に押され、やむなく母〈伝通院〉のいる坂部城〈今の知多郡阿久…

第681話 百官名と東百官

序文・武士のステータス 堀口尚次 百官名(ひゃっかんな)は仮名(けみょう)の一種。家系や親、本人の官職名を用いるもの。 鎌倉時代より朝廷が儀式や法会の資金を調達するため、金銭と引き換えにして衛府(えふ)や馬寮(めりょう)の三等官〈尉(い)、允(じょう)〉…

第677話 僧兵祭りと三嶽寺

序文・弁慶も僧兵 堀口尚次 三嶽(さんがく)寺は、三重県三重郡菰野町菰野の湯の山温泉に存在する天台宗山門派の寺院。かつては数百名の僧兵を抱える大寺院であった。平安時代初期の大同2年に最澄〈伝教大師〉によって開かれたと伝わる。 三嶽寺は、元々鈴鹿…

第675話 藩主と対立した御付家老嫡男

序文・血のつながらない家康の孫 堀口尚次 竹腰成方(しげかた)は、江戸時代前期の美濃国今尾領主・竹腰家の一門。官位は従五位下・出雲守。槍の達人。初代尾張藩主・徳川義直〈徳川家康の九男〉の甥。 尾張藩御付(おつけ)家老〈幕府が指定する家老〉美濃国今…

第674話 磔にされた長田父子

序文・身の終り〈美濃尾張〉 堀口尚次 長田(おさだ)氏は桓武平氏吉兼流で、『尊卑分脈』による記述では忠致(ただむね)は道長(みちなが)四天王の1人とされた平到頼(むねより)の5世孫にあたる。尾張国野間〈愛知県知多郡美浜町〉を本拠地とし、平治年間には源…

第661話 戦国大名の定義

序文・将軍不在の下剋上 堀口尚次 戦国大名は、日本の戦国時代に数郡から数カ国規模の領域を一元的に支配した大名を指す。 「戦国大名」の定義については現在に到るまで曖昧さを残したまま検討が続けられているが、おおむね室町時代の守護大名と比べると、戦…

第659話 加賀野井弥八郎重望と追腹塚

序文・主君を殺された責任を負い切腹 堀口尚次 加賀井重望(かがのいしげもち)〈永禄4年 -慶長5年〉は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。美濃国加賀野井城主。別名に重茂、秀重、秀望。永禄4年、加賀井重宗の子として生まれる。幼名は弥八郎。…

第658話 悪七兵衛こと藤原〈平〉景清

序文・伝説だらけ 堀口尚次 藤原景清(かげきよ)は、平安時代末期から鎌倉時代初期の武士。藤原忠清の子。 平家に仕えて戦い、都落ちに従ったため俗に平(たいら)姓で平景清とも呼ばれているが、藤原秀郷の子孫の伊勢藤原氏〈伊藤氏〉で、伊藤景清ともいう。通…

第656話 尾張生まれの佐々成政

序文・北陸での活躍が有名 堀口尚次 佐々成政(さっさなりまさ)は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。佐々成宗の子。通称は内蔵助。家紋は棕櫚(しゅろ)。馬印は金の三階菅笠。鷹司孝子〈本理院・徳川家光正室〉の外祖父。 佐々氏は尾張国春日井…

第649話 女城主・椿姫こと「お田鶴の方」

序文・椿姫観音大菩薩 堀口尚次 お田鶴(たづ)の方は、戦国時代の女性。飯尾連龍(いのおつらたつ)の妻。椿姫とも呼ばれる。父は鵜殿長持、母は今川氏親の娘で今川義元の妹または義妹である。母方の祖父は今川氏親、母方の祖母は「尼御台(あまみだい)」といわ…

第647話 今川氏真の選んだ道

序文・二代目の苦悩 堀口尚次 今川氏真は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、戦国大名、文化人。今川氏12代当主。 父・今川義元が桶狭間の戦いで織田信長によって討たれ、その後、今川家の当主を継ぐが武田信玄と徳川家康による駿河侵攻を受けて敗れ…