ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

歴史

第805話 改易流配の家康六男・松平忠輝

序文・家康に嫌われてしまった 堀口尚次 松平忠輝は、安土桃山時代から江戸時代にかけての大名。文禄元年に徳川家康の六男〈庶子=正室以外の子〉として誕生した。側室の生母・茶阿局(ちゃあのつぼね)の身分が低いため、下野栃木城主で3万5,000石の大名であ…

第804話 秀吉に翻弄された妹・朝日姫

序文・戦国大名の身内女性の宿命 堀口尚次 朝日姫 / 旭姫は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。豊臣秀吉の異父妹とされるが、同父妹とする指摘もある。徳川家康の正室〈継室〉。名は旭といわれる。家康との結婚後は駿河御前と呼ばれ、死後は法名の南…

第800話 幻の第11代将軍・徳川家基

序文・骨肉の争い 堀口尚次 徳川家基(えいもと)は、江戸幕府第10代将軍・徳川家治(いえはる)の長男。将来の第11代将軍として期待されていたが、急死した。徳川宗家の歴史の中で唯一「家」の通字(とおりじ)〈諱〉を授けられながらも将軍位に就けなかったため…

第798話 「ジュリアおたあ」の信心

序文・戦国の世に咲いた花 堀口尚次 ジュリアおたあは、安土桃山時代の朝鮮人女性。文禄・慶長の役〈朝鮮出兵〉の際に日本に連行され、のちにキリスト教に改宗して、現代に伝わる洗礼名「ジュリア」を得て、日本名「たあ」と合わせて「ジュリアおたあ」と呼…

第797話 大命降下

序文・天皇が組閣を命じた 堀口尚次 大命降下とは、天皇が元老(げんろう)や重臣などの助言に基づき、内閣総理大臣候補者に内閣の組織準備を命じること。 明治憲法には内閣総理大臣に関する規定はなく、戦前における内閣総理大臣の地位・職名は内閣職権や内閣…

第795話 弓の名手・那須与一

序文・平家物語に登場 堀口尚次 那須与一(なすのよいち)は、平安時代末期の武将・御家人。系図上は那須氏二代当主と伝えられる。一般的に宗隆と紹介されることも多いが、家督を相続した後は資隆と名乗ったと伝えられる。治承・寿永の乱において、兄・十郎為…

第793話 二人いた「井伊の赤鬼」

序文・血は争えない 堀口尚次 井伊直政は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。井伊氏第20代当主。上野国高崎藩の初代藩主。後に近江国彦根藩の初代藩主。 徳川氏の家臣〈家臣になった当時は外様〉。遠江国井伊谷の出身で、『柳営秘艦』では榊原…

第780話 凛々しい美青年・北畠顕家

序文・公家であり武士でもある 堀口尚次 北畠顕家(あきいえ)は、鎌倉時代末期から南北朝時代の南朝公卿・武将。『神皇正統記』を著した准三后(じゅさんごう)・北畠親房の長男。主著に『北畠顕家上奏文』。南朝従二位権中納言兼陸奥大介鎮守府大将軍、贈従一…

第778話 風林火山

序文・動かざること山の如し 堀口尚次 風林火山は、甲斐の戦国大名・武田信玄の旗指物〈軍旗〉に記されたとされている「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」の通称である。古くは「孫子四如の旗」と呼ばれた。雲峰寺に日の丸の御旗、諏訪神号旗とともに現…

第776話 天下一の美人「お市の方」波乱の生涯

序文・信長の妹という矜持 堀口尚次 お市の方は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。初め近江の戦国大名・浅井長政の継室で、後に織田家重臣の柴田勝家の正室となった。小谷(おだに)の方、小谷殿とも称される。名は通説では「於市」で、「お市姫」〈…

第774話 小便公方・徳川家重

序文・徳川吉宗の傀儡 堀口尚次 徳川家重は、江戸時代中期の江戸幕府の第9代征夷大将軍である。正徳元年、和歌山藩主〈後に征夷大将軍〉徳川吉宗の長男として江戸赤坂の和戸歌山藩邸で生まれる。母は家臣・大久保忠直の娘・須磨子〈深徳院〉。幼名は長福丸。…

第770話 梅雪斎不白

序文・死去の謎 堀口尚次 穴山信君(あなやまのぶただ)/武田信君は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。甲斐武田氏の家臣で御一門衆の一人。穴山氏7代当主。 壮年期〈天正8年頃〉に剃髪して梅雪斎不白(ばいせつさいふはく)と号したので、穴山梅雪の名…

第767話 徳川家康の長女・亀姫

序文・加納御前の企て?! 堀口尚次 亀姫は、徳川家康の長女。母は築山御前〈瀬名今川氏〉で、松平信康は同母兄。奥平信昌の正室。 永禄3年 、駿府で生まれた。元亀4年ごろに家康が奥三河における武田氏の勢力を牽制するため奥平氏の帰順を試みた際、織田信…

第763話 「敵は本能寺にあり」と言ってない

序文・明智光秀の謎 堀口尚次 明智光秀は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。美濃国の明智氏の支流の人物。一般に美濃の明智荘の明智城の出身と言われているが、他の説もある。最初は、土岐氏に代わって美濃の国主となった斎藤道三に仕えた。…

第762話 信長の小姓・森蘭丸

序文・信長と運命を共にした小姓 堀口尚次 森成利(なりとし)は、安土桃山時代の武将。織田信長の近習(きんじゅ)〈側近〉をつとめ、本能寺の変で主君と2人の弟と共に討死。本姓は源氏。家系は清和源氏の一家系、河内源氏の棟梁・鎮守府将軍八幡太郎義家の7男…

第760話 美濃の蝮・斎藤道三

序文・下剋上の象徴 堀口尚次 斎藤道三 / 斎藤利政は、戦国時代の武将、美濃の戦国大名、道三流斎藤氏初代当主。美濃の斎藤氏は、越前斎藤氏の庶流・河合系斎藤の赤塚氏が美濃目代(もくだい)〈遙任(ようにん)国司が現地に私的に代官として派遣した家人(けに…

第755話 越前松平家の祖・結城秀康

序文・徳川家康の次男 堀口尚次 結城秀康、松平秀康、天正2年 - 慶長12年は、日本の武将、大名。越前国北荘藩初代藩主。徳川家康の次男。越前松平家の祖。豊臣秀吉の養子となり羽柴秀康を、結城晴朝の養子となり結城秀康を名乗り、関ケ原の戦い後、松平姓に…

第754話 今上天皇と繋がる細川ガラシャ

序文・キリシタン 堀口尚次 細川ガラシャ〈伽羅奢 / 明智玉〉、永禄6年は、戦国時代から安土桃山時代にかけての女性。明智光秀の三女で細川忠興の正室。諱は「たま」〈玉/珠〉または玉子。法名は秀林院。キリスト教徒〈キリシタン〉。 明治期にキリスト教徒…

第753話 落武者と野伏

序文・武士対農民 堀口尚次 落武者・落人(おちゅうど)とは、戦乱において敗者として生き延び、逃亡する武士である。戦国時代における落武者は、法の外の者と視て成敗権を行使する落ち武者襲撃慣行で、殺したり所持品を略奪する農民による落武者狩りの対象と…

第752話 悲運の松平信康(徳川家康長男)

序文・血統の因果 堀口尚次 松平信康は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将。徳川家康の長男〈嫡男〉。母は関口親永〈瀬名義広〉の娘で今川義元の姪・築山殿。また、後に安祥松平家の居城の岡崎城主〈愛知県岡崎市〉を務めたため、祖父・松平広忠同様…

第751話 残留日本兵の実態

序文・帰らなかった日本兵 堀口尚次 残留日本兵とは、第二次世界大戦の終結に伴う現地除隊ののちも日本へ帰国せずに現地に残留した旧日本軍の将兵を指す。 アジアや太平洋の各地に駐留した旧日本軍将兵は1945年8月の終戦により現地で武装解除、除隊処分とさ…

第749話 家康と土井利勝の関係

序文・家康の落胤説 堀口尚次 土井利勝は、安土桃山時代から江戸時代初期の武将、譜代大名。江戸幕府の老中・大老。下総国小見川藩主、同佐倉藩主、同古河藩初代藩主。土井家宗家初代。徳川秀忠政権における老中として、絶大な権勢を誇った。元亀4年3月18日…

第745話 従五位下徳川三河守藤原家康朝臣

序文・武士の権威ある肩書 堀口尚次 この名前を分解して解析すると、 ①「従五位下(じゅごいのげ)」・・・位階 ②「徳川」・・・姓 ③「三河守(みかわのかみ)」・・・官位→三河国の国主〈名誉職〉 ④「藤原」・・・(朝廷の一大勢力の名) ⑤「家康」・・・名 ⑥「…

第743話 足利尊氏の肖像画論争

序文・教科書は正しい? 堀口尚次 京都国立博物館所蔵の「騎馬武者像〈重要文化財〉」は、京都守屋家の旧蔵(きゅうぞう)〈昔から所有している〉だったことから、現在でも他の足利尊氏像と区別する必要もあって「守屋家本」とも呼ばれる。本像は江戸時代に松…

第741話 徳姫の陰謀なのか

序文・築山殿の運命 堀口尚次 徳姫は、戦国時代から江戸時代初期にかけての女性。織田信長の長女。名前は「おごとく」。松平信康の正室。嫁入りで岡崎殿と敬称された。長女・登久姫〈福子〉は小笠原秀政室、次女・熊姫〈国子〉は本多忠正室。 永禄2年、尾張…

第739話 永井直勝の改姓の因縁

序文・祖先の因果が 堀口尚次 永井直勝(なおかつ)は、戦国時代から江戸時代前期にかけての武将、旗本、大名。上野小幡藩主、常陸笠間藩主、下総古河藩初代藩主。永井宗家初代。 永禄6年、三河国の武将・長田重元(おさだしげもと)の次男として三河国碧海郡大…

第737話 継体天皇と淡墨桜

序文・伝承の天皇のお手植え桜 堀口尚次 継体天皇は、日本の第26代天皇。 諱はヲホド。『日本書紀』では男大迹王(をほどのおおきみ)、『古事記』では袁本杼命(をほどのみこと)と記される。また、『筑後国風土記』逸文に「雄大迹天皇(をほどのすめらみこと)」…

第735話 戸田康光は本当に家康(竹千代)を売ったのか

序文・三河の複雑な勢力関係 堀口尚次 戸田康光(やすみつ)は、戦国時代の三河国の武将。渥美半島・三河湾一帯に勢力を振るった。初名は宗光で、松平清康〈家康の祖父〉の偏諱(へんき)を受けて康光と改める。 戸田氏の宗主として、三河田原城を根拠地としつつ…

第732話 大府発祥の地・大清水地蔵

序文・都落ちした公家 堀口尚次 愛知県大府(おおぶ)市桃山町に「大清水地蔵」なる地蔵堂がある。大府市の民話に「七津大夫(ななつたゆう)」という話しがあり、関連があるようなので、現地を訪れて設置の「大清水地蔵様の由来」を確認した。それによると『大…

第730話 守護大名と守護代そして戦国大名

序文・正に下剋上 堀口尚次 守護大名は、軍事・警察権能だけでなく、経済的権能をも獲得し、一国内に領域的・一円的な支配を強化していった室町時代の守護を表す日本史上の概念。守護大名による領国支配の体制を守護領国制という。15世紀後期 - 16世紀初頭ご…