ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

政治・行政

第461話 身分なき共犯

序文・一蓮托生 堀口尚次 「身分なき共犯」とは、身分はないが、身分犯〈構成要件において行為者が一定の身分をもつことを必要とする犯罪〉の犯行に加担した者。収賄罪や背任罪などの、公務員や幹部など一定の立場にあることが成立の必要条件となる犯罪も、…

第460話 軍部の政治介入に抵抗した文官

序文・言論で戦う 堀口尚次 斎藤隆夫〈明治3年 -昭和24年〉は、日本の弁護士、政治家である。帝国議会衆議院において、立憲主義・議会政治・自由主義を擁護し、弁舌により軍部の政治介入に抵抗した。 粛軍演説は、昭和11年5月7日に帝国議会の衆議院で斎藤隆…

第449話 安部元総理の国葬に思う

序文・内閣府設置法が根拠 堀口尚次 「信教の自由」と「国葬」がクローズアップされているが、憲法で保障されている信教の自由は、国民の権利として当然にある。血税である税金で賄(まかな)われる国葬に、疑問符が付くことに一定の理解は出来る。 しかし死者…

第419話 合区と一票の格差問題

序文・廃藩置県の見直し 堀口尚次 「合区」とは、通常1つの都道府県が選挙区となる参議院議員通常選挙において、複数の都道府県を1つの選挙区とすること。参議院合同選挙区とは、参議院議員通常選挙における隣接する都道府県を一つに合わせた選挙区。参議院…

第386話 安部元首相銃撃に思う

序文・宿命と運命 堀口尚次 安部元首相が参議院選挙の候補者の応援演説中に凶弾に倒れた。マスコミの報道やテレビのコメンテーターそして政治家までもが、口をそろえて「民主主義への挑戦」だと言うが、私は違和感を感じた。 挑戦というとポジティブな印象が…

第383話 河村名古屋市長の視点に疑問符

序文・首長は大統領?! 堀口尚次 名古屋駅の東口の一角に、ナスやピーマンなどの野菜が植わっている光景に注目が集まっていた。「駅前で野菜?」「誰が食べるんだ」――。SNSでも話題になっていたが、ある日、こつぜんと姿を消した。 名古屋市によると、野菜…

第382話 参議院選挙の仕組み

序文・特定枠を設けた訳は? 堀口尚次 参議院議員選挙が近づいたので復習してみた。 ①選挙区選挙・・・候補者名を記載する。 ②比例代表選挙・・・名簿に登載されている候補者名を記載する。候補者名に代えて、名簿の届出をした政党その他の政治団体の名称又…

第369話 政令指定都市の課題

序文・権限と役割は違うはず 堀口尚次 政令指定都市は、地方公共団体の一つ。法廷人口が50万人以上で、なおかつ政令で指定された市のこと。名古屋市・大阪市・横浜市などがこれにあたる。地方自治法において、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体…

第366話 内部留保

序文・富の再分配の難しさ 堀口尚次 企業の純利益から、税金、配当金、役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りで、「社内留保」ともいう。ひらたく言えば「企業の儲けの蓄え」のことだが、会計上は「利益準備金」「任意積立金」「繰越利益剰余金」などの…

第359話 生活保護「扶養照会」

序文・民法の義務が皮肉な結果に・・・ 堀口尚次 生活保護受給の審査に「扶養照会」なる存在があることを、テレビのドキュメンタリー番組で知った。その問題点について調べてみた。 生活保護は、国や自治体が「健康で文化的な最低限度の生活」を日本国民に保…

第353話 人を死に至らしめた場合の刑罰

序文・交通事故の悲惨な事例 堀口尚次 5年前、東名高速で起きた「あおり運転」の死傷事故のやり直し裁判で、危険運転致死傷などの罪に問われた石橋和歩被告に判決が言い渡された。横浜地裁は争点となっていた危険運転致死傷罪の成立を認め、懲役18年の実刑を…

第350話 市街化調整区域と用途地域

序文・家も店も工場も法規制の上に建っている 堀口尚次 市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、都市計画区域について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに定める区域区分のうち、市街化を抑制すべき区域として定める区域…

第349話 自衛官護国神社合祀事件

序文・殉職と信教の自由の狭間で 堀口尚次 自衛官護国神社合祀事件は、殉職した自衛官を山口県護国神社に合祀した行為が、信教の自由を侵害され、精神の自由を害されたとして遺族の女性が、合祀の取消し請求を求めた訴訟である。最終的に最高裁判所は訴えを…

第346話 飛び地行政区の不思議

序文・地図で見ると一目瞭然 堀口尚次 木曽岬(きそさき)町は、三重県の北東端、木曽三川の河口部に位置する町。東は愛知県と接し、西は木曽川を挟んで桑名市長島町と接する。また、南は伊勢湾の最北部に面している。桑名郡に属する唯一の自治体である。三重…

第282話 救急救命士の処分について

序文・法が先か命が先か 堀口尚次 3月27日の中日新聞に「救急救命士 居合わせた看護師に医療行為指示」の記事があった。記事のよると、【愛知県豊橋市が市消防本部の男性救急救命士(53)に科した懲罰処分が波紋を広げている。出動した交通事故の現場で「自…

第273話 保育園と幼稚園

序文・教育と保育の違い 堀口尚次 保育所は、保護者が働いているなどの何らかの理由によって保育を必要とする乳幼児を預かり、保育することを目的とする通所の施設。厚生労働省児童家庭局が管轄し、児童福祉法第7条に規定される「児童福祉施設」となっている…

第271話 弾劾制度

序文・三権分立のバランス 堀口尚次 弾劾(だんがい)とは、身分保障された官職にある者を、義務違反や非行などの事由で、議会の訴追によって罷免し、処罰する手続き。これにちなみ相手を非難する表現にもなっている。 日本の弾劾制度は以下の2種類があり、い…

第260話 国旗・国歌法

序文・義務ではないがやるべきこと 堀口尚次 国旗及び国歌に関する法律は、国旗・国歌を定める日本の法律。所管官庁は内閣府。1999年(平成11年)8月13日に公布、即日施行された。国旗を「日章旗」、国歌を「君が代」と規定した。なお、日本で法律で国旗や国…

第256話 大統領と首相

序文・権力の集中と分散 堀口尚次 大統領は、共和国の元首の呼称の一つ。国によって、正式には共和国大統領や連邦大統領と称することもある。また、例外的に、国家元首たる合議体の議長や政府の長の呼称として用いられることもある。 大統領制とは、大統領を…

第249話 旧優生保護法と除斥期間

序文・司法の役割 堀口尚次 優生保護法とは、昭和23年から平成8年まで存在した法律である。優生と母体保護を目的とし、不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節、優生結婚相談などを定めたものであったが、優生思想に基づく部分は障害者差別であるとして削除され、…

第239話 判事と裁判官の違い

序文・判事が主人公の漫画「家栽の人」は、家裁ではない。 堀口尚次 判事は、日本の裁判官の職位の1つ。旧法下においては、現在の「裁判官」に相当する意味で用いられていた。ただし旧憲法では裁判官と称していた。現行法においては、旧法下の「判事」に代わ…

第224話 背任と横領の違い

序文・お天道様は見てなさるぞよ 堀口尚次 背任(はいにん)罪とは、他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背(そむ)く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立する。 特別背任…

第223話 思いやり予算以上の在日米軍支出あり

序文・「思いやり」の「見返り」は 堀口尚次 思いやり予算とは、防衛省予算に計上されている「在日米軍駐留経費負担」の通称である。在日米軍の駐留経費における日本側の負担のうち、日米地位協定及び、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定を根拠に支出され…

第220話 五・一五事件の「話せばわかる」

序文・二二六事件の布石 堀口尚次 五・一五事件は、昭和7年に日本で起きた反乱事件。武装した海軍の青年将校たちが内閣総理大臣官邸に乱入し、犬養毅首相を殺害した。 大正時代、衆議院の第一党の党首が内閣総理大臣になるという「憲政の常道」が確立したこ…

第215話 国会議員の特権・文書通信交通滞在費

序文・既得権益打破の模範となれるか 堀口尚次 文書通信交通滞在費とは、国会議員が、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、月額100万円を支給される手当。 この費用の目的はあくまで経費として支払われるが、前述のように文通費は報告…

第211話 日教組の立ち位置

序文・国旗掲揚、国歌斉唱は教育か否か。 堀口尚次 日本教職員組合は、日本の教員・学校職員による労働組合の連合体である。教職員組合としては日本最大であり、日本労働組合総連合会〈連合〉、公務公共サービス労働組合協議会〈公務労協〉、教育インターナ…

第208話 生活保護制度の課題

序文・弱者救済制度の悪用は断じてならない 堀口尚次 生活保護は、国や自治体が「健康で文化的な最低限度の生活」を日本国民に保障するためとして設けている公的扶助制度。日本国憲法第25条や生活保護法の理念に基き、生活に困窮する国民に対して、資力調査…

第206話 警察民事不介入の怪

序文・警察の立場は複雑 堀口尚次 民事不介入とは、警察権〈社会や公共の秩序を維持するために国民に対し命令や強制を加える公権力〉が、民事紛争〈私人間の生活関係に関する権利義務に関する争い〉に介入するべきではないとする警察の原則である。民事事件…

第203話 死刑囚の冤罪は国家殺人

序文・裁判官も人間だから間違いも起こす可能性がある 堀口尚次 最近テレビで立て続きに「死刑囚の冤罪」ドキュメンタリー番組を観た。司法とて人間だ。絶対に間違えないとはいえない。ところが官僚には、無謬性(むびゅうせい)神話〈絶対に間違えがないとい…

第192話 敵基地攻撃能力と専守防衛の矛盾点

序文・憲法は解釈によって違ってくる 堀口尚次 敵基地攻撃能力とは、弾道ミサイルの発射基地など敵国の基地や拠点などを攻撃する装備能力のこと。 敵基地攻撃能力を保有するべきと主張する論者が根拠とするのが、1956年に出された鳩山一郎首相の次の答弁であ…