ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

幕末維新

第289話 碧血碑

序文・山上に石を建て、以ってその志を表す。 堀口尚次 碧血碑(へっけつひ)は、北海道函館市、函館山の麓(ふもと)に明治8年5月に建立された戊辰戦争、特に箱館戦争における旧幕府軍の戦死者を記念する慰霊碑。土方歳三などをはじめとする約800人の戦死者を弔…

第287話 天誅組の変

序文・維新の魁 堀口尚次 天誅(てんちゅう)組の変は、幕末の文久3年に吉村虎太郎をはじめとする尊皇攘夷派浪士の一団〈天誅組〉が公卿・中山忠光を主将として大和国で決起し、後に幕府軍の討伐を受けて壊滅した事件である。その活動は文久3年8月17日の大和国…

第285話 異端児・高杉晋作

序文・将軍に「よぉ!征夷大将軍!」と声かけした? 堀口尚次 高杉晋作は、幕末長州藩の尊皇攘夷志士として活躍。奇兵隊など諸隊を創設し、長州藩を倒幕に方向付けた。吉田松陰が主宰していた松下村塾に入り、松下村塾四天王の一人となった。師の松陰が安政…

第283話 屯田兵の歴史

序文・北海道開拓の礎 堀口尚次 屯田兵(とんでんへい)は、明治時代に北海道の警備と開拓にあたった兵士とその部隊である。明治7年に制度が設けられ、翌年から実施、明治37年に廃止された。 屯田〈兵士による開拓〉制を北海道に実施するという考えは、明治初…

第277話 島津久光の抵抗

序文・幕末薩摩の光と影 堀口尚次 島津久光は、幕末の薩摩藩における事実上の最高権力者で、公武合体運動を推進した。幕末四賢候の一人で第11第薩摩藩主・島津斉彬は異母兄であり、第12第藩主・島津忠義は久光の長男である。久光は藩主の父であることから「…

第268話 最後の老中・板倉勝静

序文・幕末の老中の立場は微妙 堀口尚次 板倉勝静(かつきよ)は、幕末の大名。備中松山藩7代藩主。板倉宗家13代当主。江戸幕府の奏者番・寺社奉行・老中首座〈筆頭〉を歴任した。 藩政改革が評価されて幕府から奏者番兼寺社奉行に任じられたが、安政の大獄…

第263話 壬生義士伝の再考

序文・義と愛と友情 堀口尚次 『壬生(みぶ)義士伝』は、浅田次郎による日本の歴史小説。南部地方盛岡藩の脱藩浪士で新選組隊士の吉村貫一郎を題材とした時代小説である。足軽身分で貧困ゆえ脱藩して新選組に入隊。守銭奴(しゅせんど)〈お金に強い執着心を持…

第257話 吉田松陰の志(こころざし)

序文・その他大勢では終わらない 堀口尚次 吉田松陰は、江戸時代後期の日本の武士〈長州藩士〉、思想家、教育者。山鹿流兵学師範。明治維新の精神的指導者・理論者。「松下村塾」で明治維新に重要な働きをする多くの若者へ影響を与えた。 嘉永6年、ペリーが…

第255話 新選組の紆余曲折

序文・組織を維持するための血生臭い歴史 堀口尚次 「第61話・新選組と袂を分かちた新徴組」でも取り上げたが、今回は新選組に焦点を合わせて、その成り立ちと粛清の歴史を記す。幕末の京都は政治の中心地であり、諸藩から尊皇攘夷・倒幕運動の志士が集まり…

第250話 悲運の殿様・松平容保(かたもり)

序文・尊皇と佐幕の狭間に生きた殿様 堀口尚次 幕末の会津藩主だった松平容保が、京都守護職を拝命した時、家老らは急ぎ会津より到着し、京都守護職就任を断る姿勢を取った。家臣たちは容保に謁し「このころの情勢、幕府の形勢が非であり、いまこの至難の局…

第222話 大隈重信なのであるんである

序文・旧肥前藩士から明治新政府の中枢へ上り詰めた男 堀口尚次 大隈重信は、参議・大蔵卿・内閣総理大臣・外務大臣・農省務大臣・内務大臣・枢密顧問官を歴任し、報知新聞の経営や、高等教育機関を育成するために力を注いだ教育者でもある。 幕末佐賀藩の上…

第216話 靖国神社に建つ大村益次郎

序文・トコトンヤレ 堀口尚次 『宮さん宮さんお馬の前にヒラヒラするのは何じゃいなトコトンヤレトンヤレナあれは朝敵征伐せよとの錦の御旗(みはた)じや知らないかトコトンヤレトンヤレナ』トンヤレ節で有名なこの歌は、大村益次郎が作曲したとされる。「宮…

第212話 酔って候の山内容堂

序文・土佐の鯨は大虎で・・・ 堀口尚次 山内容堂(ようどう) は、幕末の外様大名。土佐藩15代藩主。酒と女と詩を愛し、自らを好んで「鯨海酔侯(げいかいすいこう)」や「酔翁(すいおう)」と称した。藩政改革を断行し、幕末の四賢候の一人として評価される一方…

第207話 高須四兄弟の長兄・徳川慶勝

序文・幕末を影で支えた徳川慶勝 堀口尚次 松平義建(よしたつ)・美濃国高須藩〈尾張藩支藩〉10代藩主を親に持つ子は11人おり、その内の次男・慶勝(よしかつ)〈尾張徳川家14代当主〉、五男・茂徳(もちなが)〈一橋徳川家10代当主〉、七男・容保(かたもり)〈会…

第202話 大久保利通の心中は西郷のみが知る

序文・大久保と西郷は郷友 堀口尚次 大久保利通は、明治維新の元勲であり、西郷隆盛、木戸孝允と並んで「維新の三傑」と称される。初代内務卿で、内閣制度発足前の明治日本政府〈太政官〉の実質的・事実上の首相。 薩摩藩の郷中〈薩摩藩の武士階級子弟の教育…

第190話 天璋院・篤姫の覚悟

序文・女の道は前に進むしかない 堀口尚次 天璋院(てんしょういん)篤姫(あつひめ)は、薩摩藩島津家の一門に生まれ、島津本家の養女となり、五摂家筆頭近衛家の娘として徳川家に嫁ぎ、江戸幕府第13代将軍徳川家定御台所(みだいどころ)となった人物。薩摩藩分…

第183話 明治の元老・伊藤博文の最期

序文・かつての1000円札の英雄は、凶弾に倒れた。 堀口尚次 伊藤博文は、初代・内閣総理大臣、その後三度の内閣総理大臣、立憲政友会の初代・総裁、初代・枢密院議長、初代・貴族院議長、初代・韓国統監などを歴任した、日本の政治の中心に君臨し続けた大物…

第176話 勝海舟の裏工作準備

序文・江戸焦土作戦とは 堀口尚次 勝麟(りん)太郎は、勝安房守(あわのかみ)義邦が正式名で、海舟は号である。安政の改革で才能を見出され、長崎海軍伝習所に入所。その後に咸臨丸で渡米し、帰国後に軍艦奉行並となり神戸海軍操練所を開設。戊辰戦争時には幕…

第175話 東洋のエジソン・田中久重

序文・すごい人がいたもんだ 堀口尚次 田中久重は、江戸時代後期から明治にかけての発明家。「東洋のエジソン」「からくり儀右衛門」と呼ばれた。芝浦製作所(後の東芝の重電部門)の創業者。 幼い頃から才能を発揮し、五穀神社(久留米市通外町)の祭礼では…

第170話 和宮降嫁の行列は50km

序文・和宮の心中を慮(おもんばか)らずにはいられない 堀口尚次 和宮(かずのみや)とは、和宮親子(ちかこ)内親王のことで、仁幸天皇の第8皇女。江戸幕府第14代将軍・徳川家茂(いえもち)の正室〈御台所〉。家茂死後には落飾(らくしょく)〈出家〉し、静寛院(…

第168話 軍歌・抜刀隊の感慨

序文・敵の大将は西郷隆盛 堀口尚次 西南戦争最大の激戦となった田原坂(たばるざか)の戦いにおいて、帝国陸軍〈政府軍・官軍〉側として予想外の形での戦闘、すなわち白兵戦(はくへいせん)〈刀剣などの近接戦闘用の武器を用いた戦闘〉が発生した。数に勝る帝…

第164話 板垣死すとも自由は死せず

序文・100円札は子供の頃つかいました 堀口尚次 板垣退助は元土佐藩士で、明治維新の元勲(げんくん)、自由民権運動の指導者。東アジアで初となる帝国議会を樹立し「憲政の父・国会を創った男」として知られる。 板垣は、絶対尊皇主義者として知られ、君民一…

第160話 河合継之助の意地

序文・勝てば官軍、負ければ賊軍。 堀口尚次 河井継之助(つぎのすけ)は、幕末の越後・長岡藩の家臣。戊辰戦争の一部をなす北越戦争で長岡藩側を主導したことで知られる。最終役職は、家老であり軍事総督にも任命されている。藩主・牧野は、幕府の老中や京都…

第155話 幻の蝦夷共和国

序文・榎本の胸中は誰にもわからない 堀口尚次 蝦夷共和国とは、戊辰戦争末期に蝦夷地〈北海道〉を支配した旧江戸幕府軍勢力による「事実上の政権」である蝦夷島政府を指す俗称。蝦夷政権、箱館政権、北海道共和国とも言う。 幕末に江戸城が無血開城されると…

第150話 大政奉還の裏側

序文・政権返上には、駆け引きがあった。 堀口尚次 大政奉還とは「慶応3年10月14日に江戸幕府第15代将軍・徳川慶喜が政権返上を明治天皇へ上奏し、翌15日に天皇が上奏を勅許したこと」と、教科書には書いてあるが、裏側では幕府と薩長らとのすさまじい駆け引…

第144話 庄内藩の恩返し

序文・西郷隆盛の器の大きさに応えた庄内藩 堀口尚次 幕末の戊辰戦争に於いて、旧幕府側として新政府軍と戦った庄内藩〈現在の山形県鶴岡市〉について記す。藩主の酒井氏は、幕府の老中を務める譜代大名であった。江戸市中警護のなどにあたっていた経緯から…

第141話 白虎隊と会津藩の悲劇

序文・会津の悲劇は白虎隊だけではなかった 堀口尚次 白虎隊は、幕末における戊辰戦争の一環である会津戦争に際して、会津藩が組織した、16~17歳の武家男子を集めた部隊である。中には志願して生年月日を改め15歳で出陣した者もいたほか、幼少組として13歳…

第138話 赤鬼・井伊直弼の評価

序文・こちらは、泣かなかった赤鬼。 堀口尚次 井伊直弼といえば、幕末の譜代大名。近江彦根藩の第15代藩主。幕末期の江戸幕府にて大老を務め、開国派として日米修好通商条約に調印し、日本の開国・近代化を断行した。また、強権をもって国内の反対勢力を粛…

第124話 廃藩置県

序文・廃藩置県は世界に類を見ない「行政大革命」!? 堀口尚次 廃藩置県とは、明治維新期の明治4年に、明治政府がそれまでの藩を廃止して地方統治を中央管下の府と県に一元化した行政改革である。 300弱の藩を廃止してそのまま国直轄の県とし、その後に県は…

第119話 二宮金次郎のイメージと実像

序文・あの像は戦後消えたのか?GHQが修身教育を排除したからか?! 堀口尚次 小学校の校庭に建つ、薪を背負いながら本を読む金次郎の像は有名だ。戦前の修身の教科書では、『刻苦勉励(こっくべんれい)〈心身を苦しめてつとめはげむこと苦労を重ねて一心…