ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

第676話 最後の対米抵抗者・小園大佐

序文・軍人としての矜持 堀口尚次 厚木航空隊事件は、昭和20年8月15日に、厚木海軍飛行場で第三〇二海軍航空隊司令の小園安名大佐が起こした騒乱事件。第二次世界大戦での日本の降伏を受け入れず、連合国軍と徹底抗戦する目的で起こされたが、6日後に鎮圧さ…

第675話 藩主と対立した御付家老嫡男

序文・血のつながらない家康の孫 堀口尚次 竹腰成方(しげかた)は、江戸時代前期の美濃国今尾領主・竹腰家の一門。官位は従五位下・出雲守。槍の達人。初代尾張藩主・徳川義直〈徳川家康の九男〉の甥。 尾張藩御付(おつけ)家老〈幕府が指定する家老〉美濃国今…

第674話 磔にされた長田父子

序文・身の終り〈美濃尾張〉 堀口尚次 長田(おさだ)氏は桓武平氏吉兼流で、『尊卑分脈』による記述では忠致(ただむね)は道長(みちなが)四天王の1人とされた平到頼(むねより)の5世孫にあたる。尾張国野間〈愛知県知多郡美浜町〉を本拠地とし、平治年間には源…

第673話 海の安全を守る青峰山観音

序文・十一面観音菩薩 堀口尚次 正福寺(しょうふくじ)は、三重県鳥羽市松尾町にある、高野山真言宗の仏教寺院。山号は青峯山(あおみねさん)で、同名の山の頂上付近にある。別名は嵯峨御所。海上守護の霊峰として漁業関係者の篤い信仰を集め、信者は北海道小…

第672話 年季奉公と身請

序文・女性の悲しい歴史 堀口尚次 年季(ねんき)奉公は、雇用者との契約の下に一定期間働く雇用制度の一形態である。多くは住み込みで食糧や日用品は支給されたが、給与は支払われないか、支払われたとしても極く僅かなものだった。かつては世界の多くの国で…

第671話 鬼平犯科帳のモデル・長谷川宣以

序文・今大岡 堀口尚次 長谷川宣以(もぶため)は、江戸時代中期の旗本。寛政の改革期に火付盗賊改役(ひつけとうぞくあらためかた)を務め、人足寄場〈軽罪人・虞犯(ぐはん)者の自立支援施設〉を創設した。通称は平蔵(へいぞう)。長谷川平蔵の名は、池波正太郎…

第670話 野生にいないジュウシマツ

序文・籠の鳥 堀口尚次 ジュウシマツ〈十姉妹〉とは、スズメ目カエデチョウ科の鳥。愛玩用にヒトの手によって作り出された家禽(かきん)で、野生種は存在しない。 体長約12cm、体重12〜18g。寿命は3年程度、長くても8年などと言われてきたがこれはかつての繁…

第669話 車寅次郎は香具師

序文・結構毛だらけ猫灰だらけ 堀口尚次 香具師(やし)とは、祭礼や縁日における参道や境内や門前町、もしくは市が立つ所などで、露店で出店や、街頭で見世物などの芸を披露する商売人をいう。 古くは、香具師(こうぐし)とも読み、主に江戸時代では歯の民間治…

第668話 傷痍軍人の境遇

序文・祖国に翻弄された人々 堀口尚次 傷痍(しょうい)軍人は戦争において傷痍を負った軍人・軍属。軍人恩給法によって増加恩給・傷病年金・傷病賜金の受給権有資格者をさす。日本では、昭和6年11月までは廃兵と呼称された。 日本においても日露戦争後に大量…

第667話 老兵は死なず ただ消え去るのみ

序文・天皇との関わり 堀口尚次 ダグラス・マッカーサーは、アメリカ合衆国の軍人。アメリカ陸軍元帥、連合国軍最高司令官、国連軍司令官などを歴任した。 第二次世界大戦後、1945年から1950年まで連合国軍最高司令官〈GHQ〉として大日本帝国を占領した。日…

第666話 三助の由来

序文・スーパー三助? 堀口尚次 三助(さんすけ)とは、江戸時代中頃から現代における日本の銭湯で働いていた、男性労働者。釜焚きや下足番、また男湯・女湯で入浴客の背中を流すなど、銭湯における直接間接のサービスに従事した。 三助志望者は街の銭湯に雇用…

第665話 「ダルマさん」こと高橋是清

序文・モラトリアムの実施 堀口尚次 高橋是清〈嘉永7/安政元年 - 昭和11年〉は、日本の政治家。日本銀行総裁。 立憲政友会第4代総裁。第20代内閣総理大臣〈在任:大正10年 - 大正11年〉。栄典は正二位大勲位子爵。幼名は和喜次。近代日本を代表する財政家とし…

第664話 トイレの神様・烏枢沙摩明王

序文・不浄を浄化する 堀口尚次 烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)は、密教における明王の一尊である。「烏枢瑟摩」「烏蒭沙摩」「烏瑟娑摩」「烏枢沙摩」とも表記される。真言宗・天台宗・禅宗・日蓮宗などの諸宗派で信仰される。台密〈天台宗の密教〉では…

第663話 斬首を免れた菱田海鴎の辞世の漢詩

序文・幕末維新の混乱痕跡 堀口尚次 菱田重禧(しげよし)〈天保7年-明治28年〉は、幕末の大垣藩士・漢詩人、明治期の官僚・裁判官。青森県権令。字・士端、通称・文蔵、号・海鴎(かいおう)。 美濃国安八郡久瀬川村〈現岐阜県大垣市〉で、大垣藩侍講・菱田清次…

第662話 日本のウヰスキーの歴史

序文・鳥井さんありがとう 堀口尚次 ウイスキー〈英: whisky、愛/米: whiskey〉は、世界の酒の一つ。大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これをアルコール発酵させ蒸溜したものである。日本語ではウィスキーとも表記される〈ウヰス…

第661話 戦国大名の定義

序文・将軍不在の下剋上 堀口尚次 戦国大名は、日本の戦国時代に数郡から数カ国規模の領域を一元的に支配した大名を指す。 「戦国大名」の定義については現在に到るまで曖昧さを残したまま検討が続けられているが、おおむね室町時代の守護大名と比べると、戦…

第660話 空間識失調

序文・平衡感覚の喪失 堀口尚次 空間識失調とは、平衡感覚を喪失した状態。バーティゴともいう。平常時における平衡感覚を喪失した失調状態において起こる、めまいなど。 主に航空機のパイロットなどが飛行中、一時的に平衡感覚を失う状態のことをいう。健康…

第659話 加賀野井弥八郎重望と追腹塚

序文・主君を殺された責任を負い切腹 堀口尚次 加賀井重望(かがのいしげもち)〈永禄4年 -慶長5年〉は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。美濃国加賀野井城主。別名に重茂、秀重、秀望。永禄4年、加賀井重宗の子として生まれる。幼名は弥八郎。…

第658話 悪七兵衛こと藤原〈平〉景清

序文・伝説だらけ 堀口尚次 藤原景清(かげきよ)は、平安時代末期から鎌倉時代初期の武士。藤原忠清の子。 平家に仕えて戦い、都落ちに従ったため俗に平(たいら)姓で平景清とも呼ばれているが、藤原秀郷の子孫の伊勢藤原氏〈伊藤氏〉で、伊藤景清ともいう。通…

第657話 堕落した天使=悪魔

序文・善と悪の戦い 堀口尚次 堕天使(だてんし)は、主なる神の被造物でありながら、高慢や嫉妬がために神に反逆し、罰せられて天界を追放された天使、自由意志をもって堕落(だらく)し、神から離反した天使である。 キリスト教の教理では悪魔は堕落した天使で…

第656話 尾張生まれの佐々成政

序文・北陸での活躍が有名 堀口尚次 佐々成政(さっさなりまさ)は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。佐々成宗の子。通称は内蔵助。家紋は棕櫚(しゅろ)。馬印は金の三階菅笠。鷹司孝子〈本理院・徳川家光正室〉の外祖父。 佐々氏は尾張国春日井…

第655話 オート三輪ジャイアントの歴史

序文・子供の頃見た記憶あり 堀口尚次 オート三輪は、三輪自動車の貨物自動車である三輪トラックを指す。日本で用いられる呼称。軽便・安価で、積載力があり悪路に強く、小回りが利くという特性から、日本では昭和5年代から昭和25年代に隆盛を極めたが、その…

第654話 アメーバ経営・稲森和夫

序文・合理的と精神論 堀口尚次 稲盛和夫〈昭和7年 - 令和4年〉は、日本の実業家。京セラ・第二電電〈現・HDDI〉創業者。公益財団法人稲森財団理事長。「盛和塾」塾長。日本航空名誉会長。一時経営破綻した日本航空の再建にリーダーシップを発揮するなど、日…

第653話 賓頭盧尊者

序文・おびんづるさん 堀口尚次 賓頭盧(びんずる)は、釈迦の弟子の1人。獅子吼(ししく)〈熱弁をふるって真理・正義を説くこと〉第一と称される。名前の意味は、不動、利根(りこん)〈教えを受けて修行する者の性質資質がすぐれていること〉という。十六羅漢の…

第652話 琴弾松

序文・愛知県東海市の民話より 堀口尚次 『むかし、横須賀の大教院境内に、四方に枝を張った松の木の大木がありました。寺には、都をのがれてこの地にかくれすむ、白羽監物という侍がいました。毎日、伊勢の海を渡ってくる風が松の木にふれて、かすかにかな…

第651話 分類学上はイルカは存在しない

序文・クジラに乗った少年 堀口尚次 イルカ〈海豚、鯆〉は、哺乳類偶蹄目(ぐうていもく)〈鯨偶蹄目〉に属する鯨類の内、小型の種の総称である。なお、イルカとクジラは分類学的には明確に区別されない。 分類学上は、「イルカ」に相当する系統群は存在しない…

第650話 無投票当選に思う

序文・選挙することの意義 堀口尚次 無投票当選とは、選挙において立候補の届出者数が定数以下となった場合に、投票が行われずに候補者全員が当選する状態を指す。 日本の公職選挙法では、立候補者数が定数以下である場合は投票を行わずに立候補者全員が当選…

第649話 女城主・椿姫こと「お田鶴の方」

序文・椿姫観音大菩薩 堀口尚次 お田鶴(たづ)の方は、戦国時代の女性。飯尾連龍(いのおつらたつ)の妻。椿姫とも呼ばれる。父は鵜殿長持、母は今川氏親の娘で今川義元の妹または義妹である。母方の祖父は今川氏親、母方の祖母は「尼御台(あまみだい)」といわ…

第648話 織田信長と戦った花井惣五郎

序文・宝篋印塔の一部 堀口尚次 『愛知県東海市には、北から平島城、清水城、富田山中城、木田城、横須賀城、藪城などと呼ばれるいくつかの城がありました。藪城はそのうちの一つで、花井惣五郎という豪族が築いたものだと伝えられています。 尾張の国には守…

第647話 今川氏真の選んだ道

序文・二代目の苦悩 堀口尚次 今川氏真は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、戦国大名、文化人。今川氏12代当主。 父・今川義元が桶狭間の戦いで織田信長によって討たれ、その後、今川家の当主を継ぐが武田信玄と徳川家康による駿河侵攻を受けて敗れ…