ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2024-01-01から1年間の記事一覧

第1018話 松前藩家老で画家「蠣崎波響」

序文・天皇も見た絵 堀口尚次 蠣崎波響(かきざきはきょう)/蠣崎広年は、江戸時代後期の画家、松前藩家老。松前藩12代藩主・松前資広(すけひろ)の五男に生まれる。 波響が生まれた翌年に父が亡くなり、兄の道広が藩主を継いだ。翌年に波響は、家禄五百石で藩…

第1017話 「暁に祈る」事件

序文・シベリア抑留リンチ事件 堀口尚次 「暁に祈る」事件は、第二次世界大戦終結後の1940年代後半、ソ連軍によるシベリア抑留の収容所において、日本人捕虜の間で起きたとされるリンチ事件。リンチの指示を行ったとされる人物が、日本への帰国後に逮捕・起…

第1016話 列車から転落した宮城道雄

序文・謎の転落死 堀口尚次 宮城道雄〈明治27年 - 昭和31年〉は、日本の作曲家・筝曲家である。兵庫県神戸市生まれ。旧姓は菅(すが)。十七絃の開発者としても知られる。大検校(けんぎょう)〈盲人の最高位〉であったため、広く『宮城検校』と呼ばれた。 明治2…

第1015話 日本のエジソン「加藤与五郎」

序文・カセットテープの生みの親 堀口尚次 加藤与五郎〈明治5年-昭和42年〉は、日本の化学者・工学者・理学博士・東京工業大学名誉教授・文化功労者・軽井沢町名誉町民・刈谷市名誉市民。「フィライトの父」や「日本のエジソン」などと呼ばれる。 明治5年、…

第1014話 軍師・黒田官兵衛

序文・軍事参謀 堀口尚次 黒田孝高(よしたか)は、播磨国の姫路生まれで戦国時代から江戸時代初期にかけての武将・軍師。キリシタン大名でもあった〈洗礼名はドン・シメオン〉。戦国の三英傑に重用され、筑前国福岡藩祖となる。 諱〈実名』は初め祐隆(すけた…

第1013話 案山子と鹿威し

序文・害獣対策 堀口尚次 案山子(かかし)は、田や畑などの中に設置して、作物を荒らす鳥などの害獣を追い払うための田畑に立てる竹やわらなどで作った人形やそれに類するなんらかの仕掛けである。地域によっておどし、そうずなどさまざまな異称がある。 「か…

第1012話 源氏長者

序文・名誉と権威 堀口尚次 源氏長者(げんじのちょうじゃ)は、源氏一族全体の氏長者の事を指す。原則として源氏のなかでもっとも官位が高い者が源氏長者となる〈現任上首〉。源氏のなかでの祭祀、召集、裁判、氏爵(うじのしゃく)〈朝廷において行われた氏の…

第1011話 鎌倉悪源太こと「源義平」

序文・源頼朝の兄 堀口尚次 源義平(よしひら)は、平安時代末期の武将。源義朝の庶長子(しょちょうし)〈正室以外の子で長男〉。通称は鎌倉悪源太〈悪源太、鎌倉源太とも〉。母は京都郊外の橋本の遊女または三浦義明の娘であり、源頼朝・義経らの異母兄にあた…

第1010話 忍者・手裏剣・くの一

序文・仮面の忍者赤影 堀口尚次 「忍者」は、室町時代から江戸時代の日本で、大名や領主に仕え、また独立して諜報活動、破壊活動、浸透戦術、謀術、暗殺などを仕事としていたとされる。忍者は昭和30年代以降、小説などに使われて普及した呼称である。いわゆ…

第1009話 哲学者・思想家「キェルケゴール」

序文・実在主義の創始者 堀口尚次 セーレン・オービュ・キェルケゴール〈1813年 - 1855年〉は、デンマークの哲学者、思想家。今日では一般に実存主義の創始者、ないしはその先駆けと評価されている。 実存主義とは、人民の実存を哲学の中心におく思想的立場…

第1008話 鍵屋の辻の決闘

序文・外様大名vs旗本 堀口尚次 鍵屋の辻の決闘は、寛永11年11月7日に渡辺数馬と荒木又右衛門が数馬の弟の仇である河合又五郎を伊賀国上野の鍵弥の辻〈現三重県伊賀市小田町〉で討った事件。伊賀越の仇討ちとも言う。 後世に歌舞伎や講談などの題材となった…

第1007話 ジラード事件

序文・密約 堀口尚次 ジラード事件は、昭和32年、群馬県群馬郡相馬村〈現・榛東村〉で在日米軍兵士・ウィリアム・S・ジラードが日本人主婦を射殺した事件。日本に裁判権がみとめられたが、のちに日米合同委員会で裁判権や刑罰について密約があったことが明…

第1006話 わび・さび

序文・日本の美意識 堀口尚次 わび・さび〈侘《び》・寂《び》〉は、慎ましく、質素なものの中に、奥深さや豊かさなど「趣」を感じる心、日本の美意識。美学の領域では、狭義に用いられて「美的性格」を規定する概念とみる場合と、広義に用いられて「理想概…

第1005話 蘇民将来

序文・スサノオをもてなした 堀口尚次 蘇民将来(そみんしょうらい)は、備後国風土記に記された人物であり、日本各地に伝わる説話、およびそれを起源とする民間信仰となっている。こんにちでも「蘇民将来」と記した護符は、日本各地の国津神(くにつかみ)系の…

第1004話 熊沢天皇

序文・自称天皇 堀口尚次 熊沢寛道(ひろみち)〈明治22年 - 昭和41年〉は日本の皇位僭称(せんしょう)〈本人の身分を越えた地位称号を名乗ること〉者。熊沢天皇の呼称で知られる。戦前は皇位や皇族を僭称することは不敬罪として処罰対象であったが、GHQ体制下…

第1003話 「残念様」こと木村重成

序文・豊臣秀頼の小姓 堀口尚次 木村重成は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将。豊臣家の家臣。知行3千石。豊臣秀頼の乳母の子ということから、秀頼とほぼ同年齢であったとみられる。父と兄は豊臣秀次に仕えていたため秀次事件に連座して自害させ…

第1002話 自刃に追い込まれた豊臣秀次

序文・関白まで上り詰めたのに 堀口尚次 豊臣秀次または羽柴秀次は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。豊臣氏の第2代関白。豊臣秀吉の姉である瑞竜院日秀の長男。 幼少時、戦国大名・浅井長政の家臣・宮部継潤が秀吉の調略に応じる際に人質と…

第1001話 時効

序文・罪は一生消えない 堀口尚次 時効とは、ある出来事から一定の期間が経過したことを主な法律要件として、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わず、その事実状態に適合する権利または法律関係が存在すると扱う制度、あるいはそのように…

第1000話 「蜘蛛の糸」伝説・福恩寺

序文・埋め立てられた大池 堀口尚次 過日所用で名古屋市中区の地下鉄上前津(かみまえづ)駅を下車した際、千代田2丁目の福恩寺に立ち寄った。真宗大谷派のこじんまりした寺院だが、本堂は閉ざされていた。境内に真っ二つに切断された跡のある石碑があり、読み…

第999話 しっぺい太郎と「しっぺがえし」

序文・竹の杖 堀口尚次 しっぺい太郎は、魔物退治の犬である。日本各地の猿神退治の昔話に登場する。 粗筋は『村の神に娘を人身御供にせねばならない慣習があり、通りすがりの旅人が干渉する。 生贄を食らう〈猿の〉魔物たちが「〈遠国の〉しっぺい太郎に知…

第998話 マニ車・後生車・お百度

序文・お経を読んだ同じ功徳 堀口尚次 マニ車〈マニぐるま・摩尼車〉とは、仏の「身口意」の象徴のうち、「口の象徴」を回転する筒に収納した仏具。輪蔵(りんぞう)、転経器(てんきょうき)とも訳す。 チベット仏教圏〈チベット・モンゴル他〉ではマニコロと呼…

第997話 機雷爆発事件及び事故

序文・海の地雷の破壊力 堀口尚次 名立機雷爆発事件は、昭和24年、新潟県西頸城郡名立町〈現上越市名立区〉に漂着した機雷の爆発によって、多くの小中学生を含む63人が死亡した事件である。 太平洋戦争終結から4年後の昭和24年3月30日、名立町小泊(こどまり)…

第996話 ういろう

序文・外郎 堀口尚次 ういろう〈漢字表記・外郎〉は蒸し菓子で和菓子の一種。「外良」「ういろ」「うゐろ」「ういらう」などの表記が用いられることもある。外郎餅(ういろうもち)とも言う。 ういろうは、典型的には米粉などの穀粉に砂糖と湯水を練り合わせ、…

第995話 斗南藩士となった元新選組・斎藤一

序文・旧会津藩と運命を共に 堀口尚次 斎藤一(はじめ)〈天保15年 - 大正4年〉は、日本の武士〈新選組隊士〉、警察官。階級は警部。勲等は勲七等青色桐葉章。幕末期に新選組で副長助勤、四番隊組長、三番隊組長、撃剣師範を務める。一時期御陵衛士に入隊。戊…

第994話 孝婦とら

序文・親孝行娘は殿様を動かした 堀口尚次 「三河の金次郎像全調査」という本に接する機会があった。その中に「孝婦とら」という像が紹介されており興味をもった。また、とらの生家あとに「孝婦碑」が建っており、碑文は以下の通りだ。 『虎は三河の国額田郡…

第993話 龍亀大菩薩・お亀さん

序文・大海龍大神の化身 堀口尚次 知多郡南知多町の知多四国霊場・浄土寺に「お亀さん」伝説が伝わる。お寺にある「お亀さん由来記」は以下の通り。 『明治四十二年九月十日、早朝 体重一八〇cm幅一一〇cm重さ約二百kgのアカウミガメが当地の海岸に打…

第992話 荒木村重・謀反の代償

序文・戦国乱世の象徴 堀口尚次 荒木村重は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名。利休十哲の1人である。元亀2年の白井河原の戦いで勝利し、池田氏が仕えていた織田信長からその性格を気に入られて、三好氏から織田家に移ることを許された。 天正…

第991話 刈谷に残る「牛石」伝説

序文・薬師如来のつかい 堀口尚次 愛知県刈谷市の松雲院の墓地片隅に「牛石(うしいし)」伝説の碑と「頭と胴といわれる二つの石」が残る。元々は少し北西の薬師堂境内にあったが、薬師堂廃止と共にこちらに移されたようだ。 西三河と知多半島北東地区近辺の昔…

第990話 長州藩の祖・毛利輝元

序文・神格化された藩祖 堀口尚次 毛利輝元は、戦国時代後期〈安土桃山時代〉から江戸時代前期にかけての武将・大名。安芸の戦国大名・毛利氏の14代当主。豊臣政権五大老の一人であり、関ケ原の戦いでは西軍の総大将となった。長州藩の藩祖でもある。 天文22…

第989話 異端の翼「震電」

序文・水平尾翼がない 堀口尚次 震電(しんでん)は、第二次世界大戦末期に大日本帝国海軍が試作した局地戦闘機である。前翼型の独特な機体形状を持つため「異端の翼」と呼ばれた。最高速度400ノット〈約740 ㎞/h〉以上の高速戦闘機の計画で、昭和20年6月に試…