ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

第225話 日本のチェーンストアの父

序文・チェーンストアは手段であり目的ではない 堀口尚次 渥美俊一は、昭和元年生れで東京大学法学部を卒業。学生時代は全国学生運動の中枢で活動。卒業後に読売新聞社に入り経営技術担当記者となる。その後にチェーンストア経営研究団体「ペガサスクラブ」…

第224話 背任と横領の違い

序文・お天道様は見てなさるぞよ 堀口尚次 背任(はいにん)罪とは、他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背(そむ)く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立する。 特別背任…

第223話 思いやり予算以上の在日米軍支出あり

序文・「思いやり」の「見返り」は 堀口尚次 思いやり予算とは、防衛省予算に計上されている「在日米軍駐留経費負担」の通称である。在日米軍の駐留経費における日本側の負担のうち、日米地位協定及び、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定を根拠に支出され…

第222話 大隈重信なのであるんである

序文・旧肥前藩士から明治新政府の中枢へ上り詰めた男 堀口尚次 大隈重信は、参議・大蔵卿・内閣総理大臣・外務大臣・農省務大臣・内務大臣・枢密顧問官を歴任し、報知新聞の経営や、高等教育機関を育成するために力を注いだ教育者でもある。 幕末佐賀藩の上…

第221話 日本人移民・日系人に対する強制収容の代償

序文・アメリカの蛮行 堀口尚次 第二次世界大戦時において連合国、特にアメリカ合衆国やアメリカの影響下にあったペルーやブラジル、メキシコなどのラテンアメリカ諸国、またカナダやオーストラリア、ニュージーランドなどのイギリス連邦において行われた、…

第220話 五・一五事件の「話せばわかる」

序文・二二六事件の布石 堀口尚次 五・一五事件は、昭和7年に日本で起きた反乱事件。武装した海軍の青年将校たちが内閣総理大臣官邸に乱入し、犬養毅首相を殺害した。 大正時代、衆議院の第一党の党首が内閣総理大臣になるという「憲政の常道」が確立したこ…

第219話 喜納昌吉という生き方

序文・泣きなさい笑いなさい 堀口尚次 喜納昌吉は、日本の音楽家、平和活動家、政治家。米軍占領下のゴザ市〈現・沖縄県沖縄市〉出身。琉球民謡を現代風にアレンジしたウチナー・ポップを確立した。バンド、喜納昌吉&チャンプルーズを率い、ヴォーカル、ギ…

第218話 不寛容社会と言論の自由 

序文・自粛警察の背景に何が 堀口尚次 不寛容社会とは、自分の主義・信条と合わない行動を取る他人を叩いたり批判したり、さらには人格否定まで行う人が増えた社会のことである。個人の発言力が大きくなったSNS普及後(特に2010年代後半以降)に大きな問題と…

第217話 特殊潜航艇の悲劇と軍の隠匿

序文・トラトラトラのその裏で 堀口尚次 特殊潜航艇とは、敵海軍の泊地(はくち)〈日本語では港湾において船舶を停泊させる水域とされるが、英語では特定のエリアではなく港湾全体を指す場合もある〉襲撃や、工作員潜入などに使われる軍用潜水艇・小型潜水艦…

第216話 靖国神社に建つ大村益次郎

序文・トコトンヤレ 堀口尚次 『宮さん宮さんお馬の前にヒラヒラするのは何じゃいなトコトンヤレトンヤレナあれは朝敵征伐せよとの錦の御旗(みはた)じや知らないかトコトンヤレトンヤレナ』トンヤレ節で有名なこの歌は、大村益次郎が作曲したとされる。「宮…

第215話 国会議員の特権・文書通信交通滞在費

序文・既得権益打破の模範となれるか 堀口尚次 文書通信交通滞在費とは、国会議員が、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、月額100万円を支給される手当。 この費用の目的はあくまで経費として支払われるが、前述のように文通費は報告…

第214話 マレーの虎こと山下奉文・陸軍大将

序文・表裏一体の見方 堀口尚次 シンガポール華僑(かきょう)粛清事件とは、日本軍の占領統治下にあったシンガポールで、日本軍(第25軍)が、中国系住民多数を掃討作戦により殺害した事件。戦犯裁判(イギリス軍シンガポール裁判)で裁かれた。 イギリス軍が日本…

第213話 アサギマダラの不思議

序文・渡り蝶と叔父の出合い 堀口尚次 アサギマダラは、チョウ目タテハチョウ科マダラチョウ亜科に分類されるチョウの1種。翅(はね)の模様が鮮やかな大型のチョウで、長距離を移動することから、渡り鳥ならぬ「渡り蝶」と呼ばれる由縁だ。 私が、この蝶に興…

第212話 酔って候の山内容堂

序文・土佐の鯨は大虎で・・・ 堀口尚次 山内容堂(ようどう) は、幕末の外様大名。土佐藩15代藩主。酒と女と詩を愛し、自らを好んで「鯨海酔侯(げいかいすいこう)」や「酔翁(すいおう)」と称した。藩政改革を断行し、幕末の四賢候の一人として評価される一方…

第211話 日教組の立ち位置

序文・国旗掲揚、国歌斉唱は教育か否か。 堀口尚次 日本教職員組合は、日本の教員・学校職員による労働組合の連合体である。教職員組合としては日本最大であり、日本労働組合総連合会〈連合〉、公務公共サービス労働組合協議会〈公務労協〉、教育インターナ…

第210話 混血孤児の運命

序文・ママー・ドゥ・ユー・リメンバー 堀口尚次 GIベビーとは、連合国軍占領の日本で、GI(アメリカ軍やイギリス軍兵士)を中心とした連合国軍兵士と日本人女性との間に生まれた乳幼児や子供である。養育困難などの理由でしばしば孤児になり、「混血孤…

第209話 日本の捕鯨の歴史と問題点

序文・小学校の給食でよくクジラ肉を食べました 堀口尚次 日本では、明治時代に西洋式捕鯨技術が導入される前、先史時代から独自の技術で捕鯨を行っていた。江戸時代には、鯨組と呼ばれる大規模な捕鯨集団による組織的捕鯨が行われていた。明治時代には遠く…

第208話 生活保護制度の課題

序文・弱者救済制度の悪用は断じてならない 堀口尚次 生活保護は、国や自治体が「健康で文化的な最低限度の生活」を日本国民に保障するためとして設けている公的扶助制度。日本国憲法第25条や生活保護法の理念に基き、生活に困窮する国民に対して、資力調査…

第207話 高須四兄弟の長兄・徳川慶勝

序文・幕末を影で支えた徳川慶勝 堀口尚次 松平義建(よしたつ)・美濃国高須藩〈尾張藩支藩〉10代藩主を親に持つ子は11人おり、その内の次男・慶勝(よしかつ)〈尾張徳川家14代当主〉、五男・茂徳(もちなが)〈一橋徳川家10代当主〉、七男・容保(かたもり)〈会…

第206話 警察民事不介入の怪

序文・警察の立場は複雑 堀口尚次 民事不介入とは、警察権〈社会や公共の秩序を維持するために国民に対し命令や強制を加える公権力〉が、民事紛争〈私人間の生活関係に関する権利義務に関する争い〉に介入するべきではないとする警察の原則である。民事事件…

第205話 3年間だけ大宮島だったグアム島

序文・グアム島統治の歴史 堀口尚次 日本軍によるグアムの占領は、第二次世界大戦の間の1941年から1944年までの時代のことである。このときグアム島は大宮(おおみや)島と改名されていた。戦後28年間、この島に潜伏していたのが有名な横井庄一さんだ。 占領…

第204話 レコードの豊かな音源

序文・アナログって好きです 堀口尚次 通常人間が聴こえている生演奏は、40,000Hz(ヘルツ)までで、これに対してCDは、22,000Hzまでしか収録されていない。これは、人間に聞こえない範囲の周波数をカットしているためである。しかしレコードには、人間が聴…

第203話 死刑囚の冤罪は国家殺人

序文・裁判官も人間だから間違いも起こす可能性がある 堀口尚次 最近テレビで立て続きに「死刑囚の冤罪」ドキュメンタリー番組を観た。司法とて人間だ。絶対に間違えないとはいえない。ところが官僚には、無謬性(むびゅうせい)神話〈絶対に間違えがないとい…

第202話 大久保利通の心中は西郷のみが知る

序文・大久保と西郷は郷友 堀口尚次 大久保利通は、明治維新の元勲であり、西郷隆盛、木戸孝允と並んで「維新の三傑」と称される。初代内務卿で、内閣制度発足前の明治日本政府〈太政官〉の実質的・事実上の首相。 薩摩藩の郷中〈薩摩藩の武士階級子弟の教育…

第201話 現存する奉安殿

序文・ここにもGHQの影が・・・ 堀口尚次 奉安殿(ほうあんでん)とは、戦前の日本において、天皇と皇后の写真〈御真影(ごしんえい)〉と教育勅語を納めていた建物である。正式名称は、「御真影奉安殿」である。 御真影の下賜が始まった時期は、教育勅語が制…

第200話 三つの台湾人「原住民・本省人・外省人」

序文・約50年間日本が統治した台湾 堀口尚次 台湾は、東アジアの台湾本島を中心とした国家、および中華民国の通称である。昭和20年、当時台湾を統治していた大日本帝国が第二次世界大戦において無条件降伏したことを受け、台湾は澎湖諸島と共に当時中国大陸…

第199話 日本製の楽器の活躍

序文・世界のYAMAHA 堀口尚次 YAMAHAに代表されるような日本の楽器メーカーは、世界で活躍しているミュージッシャン御用達の物も少ないくない。 岐阜県可児市にある「ヤイリギター」は、アコースティック・ギター製作で世界的なブランドだ。元ビ…

第198話 北条氏の台頭と鎌倉13人合議制のはじまり

序文・「いざ鎌倉」は執権北条氏のため 堀口尚次 今年のNHK大河ドラマで北条氏がクローズアップされるようだが、少し予習をしておこうと思い、筆を執った。 平治の乱〈平安時代末期の源氏と平家の戦い〉で敗れ、同地に流されていた源頼朝(よりとも)の監視…

第197話 お代官様~

序文・お主も悪よの~ 堀口尚次 江戸時代、幕府の代官は郡代〈通常の代官より位が高く、比較的広域の幕府領を支配する代官のこと〉と共に、勘定奉行の支配下におかれ小禄の旗本の知行地と天領〈幕府直轄地〉を治めていた。初期の代官職は世襲であることが多…

第196話 滅私奉公の今昔

序文・現代社会と武士道の矛盾 堀口尚次 滅私奉公は、私を滅し公に奉ずることを意味する古事である。一般的には、私心や私情を抑えて、国家・地方公共団体・社会・世間などに対して奉仕する精神を意味する。「滅私」は自身の利益や欲求を捨てること。「奉公…